アスベスト含有成形板(スレート・ボード・タイル)の対処ガイド|レベル3の特徴と除去費用
公開日:2026-05-25 最終更新:2026-05-25 監修体制:建築物石綿含有建材調査者・石綿作業主任者の有資格者ネットワーク
本記事の費用は業界相場の目安です。実費は屋根面積・足場・葺き替え有無・廃棄物量により大きく変動します。正式金額は必ず有資格者による現地調査後の見積書をご確認ください。法令・条文の最新情報は環境省 大気汚染防止法 石綿関連等の公的機関でご確認ください。
アスベスト含有成形板(レベル3)は屋根スレート・外壁サイディング・床タイル・ケイカル板などで、除去費用は3,000円〜15,000円/㎡が業界相場の目安です。発じん性は比較的低いものの破砕すれば飛散するため、専門業者による湿潤化・手作業解体が必要です。
レベル3は3レベル分類の中で発じん性が最も低い区分ですが、「危険ではない」「自分で剥がしてよい」という意味ではありません。本記事では成形板の特徴・代表的な使用箇所・費用相場・撤去時の注意点を、関連法令と公的データに基づいて整理します。
アスベスト含有成形板(レベル3)とはどのような建材ですか?
工場でセメント等と練り固められて成形されたアスベスト含有板状建材です。屋根スレート・外壁サイディング・床タイル・ケイカル板などが典型で、発じん性は3レベル中で最も低くなっています。
レベル3の成形板は次のような特性を持ちます。
- 製造形態:工場で含有材を成形・硬化させた板状・タイル状の建材
- 発じん性:比較的低い(通常使用時に繊維が空中に舞うことはほぼない)
- 含有率:建材により0.1%〜数十%まで幅広い
- 破砕時のリスク:割る・砕くと繊維が飛散するため、手作業での丁寧な解体が必要
- 典型建材:石綿スレート・石綿含有けいさんカルシウム板・石綿含有ビニル床タイル(Pタイル)・石綿セメントサイディング・石綿含有けい酸カルシウム板第二種
「日常使用では飛散しない」が「解体時には飛散する」のがレベル3の特徴で、リフォーム・解体時の取扱いに専門技術が必要です。レベル別の体系的な整理は石綿含有建材のレベル別一覧でも解説しています。
どこに多く使われていますか?
屋根スレート・外壁サイディング・床タイル・ケイカル板天井など、住宅から商業ビルまで幅広く使用されています。1970年代から2004年頃まで広く流通し、2006年9月の全面禁止以前の建物に含有可能性があります。
レベル3成形板の主な使用箇所を整理します。
| 使用箇所 | 建材種別 | 用途・特徴 |
|---|---|---|
| 屋根 | 石綿スレート(カラーベスト等) | 住宅・倉庫・工場屋根材 |
| 外壁 | 石綿含有窯業系サイディング | 住宅外装材 |
| 外壁 | 石綿セメントボード | 工場・倉庫の外壁 |
| 床 | 石綿含有ビニル床タイル(Pタイル) | 商業施設・公共建築の床仕上げ |
| 床 | ビニル床シート(裏打ち材含有) | キッチン・洗面床 |
| 天井 | 石綿含有けいさんカルシウム板 | 住宅・事務所の天井 |
| 壁・天井 | 石綿含有ロックウール吸音板 | 天井ボード(成形板) |
| 軒天 | 石綿含有けい酸カルシウム板 | 軒裏防火 |
| 煙突・配管 | 石綿セメント円筒 | 排気・排水管 |
レベル3は住宅・小規模建築物にも広く使われていたため、戸建ての屋根葺き替えや外壁リフォームでも含有確認が必須です。詳細は屋根スレート撤去ガイドもご参照ください。
除去費用の相場はいくらですか?
業界相場の目安は3,000円〜15,000円/㎡(税抜)です。レベル1・2と異なり隔離養生・負圧除じん装置が原則不要なため、単価は大きく下がります。ただし足場・葺き替え・廃棄物量で変動します。
レベル3除去工事の費用構成は次の通りです。
| 費用項目 | 目安単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 除去本体工事 | 3,000円〜15,000円/㎡ | 建材種別・施工高さで変動 |
| 事前調査・分析 | 30,000円〜100,000円/件 | 建材点数で変動 |
| 足場設置(屋根・外壁) | 800円〜1,500円/㎡ | 戸建で15〜25万円目安 |
| 湿潤化作業 | 本体に含む | 飛散抑制剤・水散布 |
| 非飛散性アスベスト廃棄物処分 | 15,000円〜30,000円/㎥ | レベル1・2の半額以下 |
| 運搬費 | 距離による | 処分施設まで |
※ 上記は業界相場の目安です。実費は必ず現地調査後の正式見積書をご確認ください。
レベル3はレベル1・2と比べて「隔離養生・負圧除じん装置」という大型設備が不要なため、単価が大幅に下がります。一方で、屋根や外壁の場合は足場費用が固定的にかかるため、面積が小さい戸建てでは総額20〜50万円前後になることが一般的です。
自分で撤去してはいけない理由は?
破砕すれば繊維が飛散し健康被害リスクがあること、廃棄物として適正処分する必要があること、解体延べ80㎡以上等は事前調査結果の行政報告義務があることが理由です。コスト面でも、適正処分料を考えると業者依頼との差は大きくありません。
レベル3を素人撤去してはいけない理由を整理します。
- 破砕時の飛散リスク:成形板でも割れば繊維が空中に舞う。マスク・防護服無しの作業は健康被害リスク
- 廃棄物処理法上の義務:アスベスト含有廃棄物は産業廃棄物。一般家庭ゴミ・引取り業者NG。マニフェスト交付・5年保管必須
- 不法投棄の罰則:5年以下の懲役 or 1,000万円以下の罰金(個人の場合でも適用)
- 事前調査結果報告義務:解体延べ80㎡以上等は石綿事前調査結果報告システムでの報告が必要
- 近隣への配慮:戸建てでも住宅地での粉じん飛散は近隣トラブルの原因
- 本人・家族の長期的健康影響:アスベスト繊維は微量曝露でも肺に蓄積する(厚生労働省)
- 適正処分料込みでみると、業者依頼との差はわずか:処分料・運搬料を考えると素人作業のコストメリットは限定的
レベル3の発じん性が「比較的低い」というのは、あくまで吹付け(レベル1)・保温材(レベル2)と比べた相対評価です。「飛散しない」という意味ではないため、必ず有資格業者へ依頼してください。健康影響については厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイトを確認できます。
工事の流れはどうなりますか?
事前調査→分析→工事計画→事前調査結果の行政報告→足場・養生→湿潤化→手作業による丁寧解体→廃棄物処分→完了報告という流れで、住宅屋根規模なら1〜2週間で完了します。
- 事前調査:建築物石綿含有建材調査者が現地調査・試料採取を実施します(2023年10月以降は有資格者必須)
- 分析調査:JIS A 1481準拠で定性分析を実施します(必要に応じて定量分析)
- 工事計画作成:施工計画書・廃棄物管理計画書を作成します
- 事前調査結果の行政報告:解体延べ80㎡以上等の対象工事は石綿事前調査結果報告システムで都道府県へ報告します
- 足場・養生:屋根・外壁の場合は仮設足場と粉じん飛散防止用シートを設置します
- 湿潤化:作業前に飛散抑制剤や水を散布して建材を湿らせます
- 手作業解体:電動工具で破砕せず、手作業で1枚ずつ丁寧に取り外します
- 梱包・運搬:強固な袋・容器に二重梱包し、産業廃棄物として運搬します
- 処分・マニフェスト:処分施設へ搬入し、マニフェストA票〜E票を受領・5年保管します
- 完了報告:作業記録・マニフェスト写し・処分証明書を施主に提出します
レベル3はレベル1・2と異なり大気濃度測定が必須ではありませんが、業者によっては自主測定を実施しています。届出制度の詳細は事前調査制度2023年10月改正で解説しています。
廃棄物の処分方法は?
レベル3の成形板は「非飛散性アスベスト廃棄物(産業廃棄物)」として、収集運搬業許可業者により処分施設へ運搬・適正処分されます。マニフェスト交付・5年保管が義務付けられています。
レベル別の廃棄物区分と処分の違いを整理します。
| レベル | 廃棄物区分 | 処分方法 | 処分単価目安 |
|---|---|---|---|
| レベル1・2 | 特別管理産業廃棄物 | 溶融処理・無害化処理 or 管理型処分場(二重梱包) | 50,000円〜80,000円/㎥ |
| レベル3 | 非飛散性アスベスト廃棄物(産業廃棄物) | 管理型処分場での埋立 | 15,000円〜30,000円/㎥ |
適正処分の確認はマニフェスト(産業廃棄物管理票)の写しで行います。A票・B2票・D票・E票が揃って初めて「正規ルートで処分された」と証明できます。業者にマニフェスト写しの開示を必ず求めてください。マニフェスト制度の詳細はアスベスト産廃マニフェスト完全ガイドで解説しています。
よくある質問
レベル3でも事前調査は必要ですか?
必要です。2023年10月以降、解体・改修工事に伴う調査は建材レベルに関わらず建築物石綿含有建材調査者による実施が必須化されました。さらに解体延べ80㎡以上等の対象工事は石綿事前調査結果報告システムでの行政報告も必要です。
レベル3を自分で撤去してもいいですか?
おすすめしません。発じん性は比較的低いものの、破砕すれば繊維が飛散します。また廃棄物は産業廃棄物としてマニフェスト交付・適正処分が必要で、一般家庭ゴミとして処分すると廃棄物処理法違反となります。撤去・処分とも有資格業者への依頼が現実的です。
レベル3の廃棄物はどう処分しますか?
レベル3の成形板は「非飛散性アスベスト廃棄物(産業廃棄物)」として、収集運搬業許可業者により処分施設へ運搬されます。マニフェスト交付・5年保管義務があります。レベル1・2の特別管理産業廃棄物より処分単価は安価ですが、適正処分の証跡確保は必須です。
スレート屋根の撤去費用はどれくらいですか?
業界相場の目安は3,000円〜15,000円/㎡です。屋根面積・足場設置・葺き替え工事の有無で変動します。葺き替えを伴う場合は新規屋根材の費用が別途加わります。詳細は屋根スレート専用解説記事もご参照ください。
まとめ
アスベスト含有成形板(レベル3)の除去費用は3,000円〜15,000円/㎡が業界相場の目安で、屋根スレート・外壁サイディング・床タイル・ケイカル板など住宅から商業ビルまで広く使用されています。発じん性は比較的低いものの破砕時には繊維が飛散するため、湿潤化と手作業による丁寧な解体が必須です。廃棄物処理法に基づく適正処分・マニフェスト交付も義務であり、素人撤去のメリットは乏しいため、必ず有資格業者へ依頼してください。