築年代別アスベスト含有建材の使用部位マップ|1950年代〜2006年禁止まで
公開日:2026-05-25 最終更新:2026-10-11
本記事の築年代・部位情報は調査前の参考情報です。築年代だけで含有有無は確定できません。設計図書と目視で分からない材料は、分析調査者による分析を行うか、含有ありとみなして措置をとります(石綿障害予防規則3条5項・6項)。法令・規制基準の最新情報は環境省 大気汚染防止法 石綿関連等の公的機関でご確認ください。
アスベストは1950年代から2006年9月の全面禁止まで使用されました。吹付け石綿は1955年頃から使われ始め、1971〜72年が最需要期でした(環境省資料)。年代によって使われた建材が違うことがあるため、築年代を手がかりに調査計画を立てるのが現実的です。
建物所有者・施主が解体や改修を計画する際、「築何年だからどの部位を重点調査すべきか」を知っておくと判断がスムーズになります。本記事では、1950年代から2006年禁止までの築年代別アスベスト使用パターンと、現在も残存しやすい部位を整理します。

なぜ築年代でアスベスト含有建材が違うのですか?
アスベストの規制が段階的に強められ、年代によって使える建材が変わったためです。1975年に石綿を5重量%を超えて含む吹付けが原則禁止、1995年にアモサイト・クロシドライトの輸入・製造等が禁止、2004年10月に石綿含有建材などの輸入・製造・使用等が禁止、2006年9月に石綿を0.1重量%を超えて含む製品の輸入・製造・使用等が禁止されました。
アスベスト規制の主な経緯は次の通りです。
| 時期 | 規制・使用の状況 | 建材への影響 |
|---|---|---|
| 1955年頃〜 | 吹付け石綿の使用が始まる。1967年頃から鉄骨造の軽量耐火被覆として大量に使われ、1971〜72年が最需要期 | 鉄骨造の耐火被覆・天井・壁などに吹付け |
| 1975年 | 石綿を5重量%を超えて含む吹付けを原則禁止(特定化学物質等障害予防規則) | 5重量%以下の吹付けロックウールは1989年ごろまで使用 |
| 1995年 | 1重量%を超える吹付けを原則禁止。アモサイト・クロシドライトの輸入・製造等を禁止(労働安全衛生法施行令) | クリソタイル(白石綿)は引き続き使用 |
| 2004年10月 | 石綿含有建材・摩擦材・接着剤の輸入・製造・使用等を禁止(労働安全衛生法) | 石綿含有建材の新たな製造・使用が止まる |
| 2005年 | 石綿障害予防規則の制定に伴い、1重量%を超える吹付けを完全に禁止 | — |
| 2006年9月 | 石綿を0.1重量%を超えて含む製品の輸入・製造・使用等を禁止(限定用途の猶予措置も2012年3月に撤廃) | 全面禁止 |
出典: 環境省「1 石綿に関する基礎知識」(1.2 石綿の生産・使用)(確認日 2026-10-11)
規制が段階的に強められたため、「いつ頃建てられたか」で含有しうる建材が変わります。年代別の特徴を理解することが調査計画の出発点になります。石綿含有建材のレベル別一覧もあわせてご参照ください。
1970年代以前(吹付け最盛期)の建材分布は?

吹付け石綿(レベル1)は1955年頃から使われ始め、1967年頃から鉄骨造の軽量耐火被覆として大量に使われ、1971〜72年が最需要期でした。1975年には5重量%を超える吹付けが原則禁止されています(環境省資料)。鉄骨造ビルの耐火被覆、機械室・ボイラー室の天井、煙突周辺の断熱などに使われていることがあります。保温材・断熱材(レベル2)が施工されている場合もあります。
この年代の建物で石綿含有建材が使われていることがある部位の例です(使われ方は建物ごとに違います)。
| 部位 | 建材 | レベル |
|---|---|---|
| 鉄骨梁・柱 | 吹付け石綿(耐火被覆) | レベル1 |
| 機械室・電気室の天井裏 | 吹付け石綿(吸音・断熱) | レベル1 |
| ボイラー室・煙突周辺 | 吹付け石綿・保温材 | レベル1・2 |
| 体育館・劇場の天井 | 吹付け石綿(音響調整) | レベル1 |
| 配管周り | 石綿含有けいそう土保温材 | レベル2 |
| 屋根 | 石綿スレート | レベル3 |
| 床 | 石綿含有ビニル床タイル(Pタイル) | レベル3 |
| 外壁 | 石綿セメント板 | レベル3 |
この年代の建物は2026年時点で築47年以上になります。吹付け材が使われた鉄骨造の建物などで解体や改修を行うときは、築年代だけで判断せず、設計図書と目視で調べ、分からない材料は分析するか含有ありとみなして措置をとります。レベル1除去の詳細はレベル1除去費用と工事の流れをご参照ください。
1975年以降の建物で石綿含有建材はどこに使われていますか?

1975年に5重量%を超える吹付けが原則禁止された後も、石綿含有建材の輸入・製造・使用等が禁止されたのは2004年10月です(環境省資料)。それまでに着工した建物では、成形板(レベル3)や保温材(レベル2)などに石綿が含まれていることがあります。
石綿が含まれていることがある部位の例は次の通りです(使われた時期や量は建物ごとに違うため、年代だけで判断せず調査で確かめます)。
- 屋根:石綿スレート(カラーベスト等)
- 外壁:石綿含有窯業系サイディング・石綿セメント板
- 床:Pタイル(石綿含有ビニル床タイル)
- 天井:石綿含有けい酸カルシウム板・石綿含有ロックウール吸音板
- 軒天:石綿含有けい酸カルシウム板
- 配管・煙突:石綿セメント円筒・石綿含有保温材
- 鉄骨耐火被覆:成形品の耐火被覆板
戸建ての葺き替えや外壁リフォームでも、事前調査は築年数にかかわらず必要です。配管保温材など見えにくい材料もあるため、部位ごとに設計図書と目視で確かめます。レベル3の詳細は屋根スレート撤去ガイドをご覧ください。
2000年代に建てられた建物の注意点は?
2004年10月に石綿含有建材の輸入・製造・使用等が禁止されるまでは、屋根スレート・外壁サイディング・床タイル・けい酸カルシウム板などに石綿が含まれている可能性があります。2006年9月からは、石綿を0.1重量%を超えて含む製品の輸入・製造・使用等が禁止されています。
2000年代に関わる禁止の時期を整理します(出典は上の環境省資料)。
| 対象 | 禁止の時期 | 内容 |
|---|---|---|
| アモサイト(茶石綿)・クロシドライト(青石綿) | 1995年 | 輸入・製造等の禁止 |
| 石綿含有建材・摩擦材・接着剤 | 2004年10月 | 輸入・製造・使用等の禁止 |
| 石綿を0.1重量%を超えて含む製品 | 2006年9月 | 輸入・製造・使用等の禁止 |
事前調査では、2006年9月1日以降に新築工事に着工した建築物は、着工日を設計図書などで確かめる方法で調査ができます(石綿障害予防規則3条3項3号)。それより前に着工した建物は、設計図書と目視で調べ、それでも含有の有無が分からない材料は、分析調査を行うか、含有ありとみなして措置をとります(同条5項)。
部位別:石綿含有建材が使われていることがある箇所

天井裏・機械室・ボイラー室・煙突周辺・配管周り・屋根スレート・外壁サイディング・床のPタイル・軒天井・防火区画の天井などに石綿含有建材が使われていることがあります。隠れて見えにくい部位は見落としやすいため、部位ごとに調べます。
部位別の調査対象の例を整理します。
| 部位 | 主な含有建材 | 建物タイプ |
|---|---|---|
| 天井裏 | 吹付け石綿・けいさんカルシウム板 | 事務所ビル・工場・体育館 |
| 機械室・電気室 | 吹付け石綿・保温材 | ビル・工場・病院 |
| ボイラー室 | 吹付け石綿・保温材・耐火被覆板 | ホテル・病院・工場 |
| 煙突内部・周辺 | 石綿含有断熱材・石綿セメント円筒 | 工場・浴場・焼却施設 |
| 配管周り | 石綿含有けいそう土保温材 | 全建物タイプ |
| 屋根 | 石綿スレート(カラーベスト等) | 住宅・工場・倉庫 |
| 外壁 | 窯業系サイディング・石綿セメント板 | 住宅・工場 |
| 床(特に商業施設) | Pタイル(石綿含有ビニル床タイル) | 店舗・学校・公共施設 |
| 軒天井 | 石綿含有けい酸カルシウム板 | 住宅・小規模建築 |
| 防火区画の壁・天井 | 耐火被覆板・けいさんカルシウム板 | 共同住宅・ビル |
天井ボードの裏側、配管の被覆、煙突の内側、床下など、解体時に初めて露出する箇所は見落としやすいため、事前調査では対象に含めて確かめます。
築年代別に確認したい建物は?
公的資料に時期の記載があるのは、吹付け石綿が使われた時期(1955年頃〜)、5重量%以下の吹付けロックウールが使われた時期(1989年ごろまで)、石綿含有建材の製造・使用等が禁止された時期(2004年10月)です。築年代はこれらを照らし合わせる手がかりで、含有の有無は調査で確かめます。
環境省資料の記載をもとに、築年代別の確認ポイントを整理します。
- 1955年頃〜1975年に着工した鉄骨造の建物:吹付け石綿が耐火被覆に使われた時期(1967年頃から大量使用、1971〜72年が最需要期)
- 1975年〜1989年ごろに着工した建物:5重量%以下の吹付けロックウールが1989年ごろまで使われている(環境省資料)
- 〜2004年9月に着工した建物:石綿含有建材の製造・使用等が禁止される2004年10月より前のため、成形板や保温材などを調査で確かめる
- 2004年10月〜2006年8月に着工した建物:2006年9月1日より前の着工なので、着工日の確認だけでは済まず、通常の事前調査が必要
築年代はあくまで手がかりです。解体・改修を計画するときは、築年数にかかわらず事前調査を行い、分からない材料は分析するか含有ありとみなして措置をとります。事前調査制度の詳細はアスベスト事前調査の有資格者義務化(2023年10月〜)完全ガイド、業者選びはアスベスト解体業者の選び方をご覧ください。
よくある質問
築何年以前の建物がアスベスト調査の対象になりますか?
解体・改修工事では、築年数にかかわらず事前調査が必要です(石綿障害予防規則3条1項)。2006年9月1日以降に新築工事に着工した建築物は、着工日を設計図書などで確かめる方法で調査ができます(同条3項3号)。基準は竣工日ではなく着工日です。それより前に着工した建物は、設計図書と目視による調査が必要です。
築年代だけでアスベスト含有を判断できますか?
できません。築年代は手がかりになりますが、同じ時期の建物でも使われた建材によって含有の有無は違います。設計図書と目視で含有の有無が分からない材料は、分析調査を行います。分析は厚生労働大臣が定める分析調査者などが行います(石綿障害予防規則3条5項・6項)。分析をせずに含有ありとみなして措置をとることもできます(同条5項ただし書)。
2006年以降に竣工した建物にもアスベストはありますか?
2006年9月からは、石綿を0.1重量%を超えて含む製品の輸入・製造・使用等が禁止されています。事前調査も、2006年9月1日以降に新築工事に着工した建築物であれば、着工日を設計図書などで確かめる方法で済ませられます(石綿障害予防規則3条3項3号)。基準は竣工日ではなく着工日なので、2006年以降に完成した建物でも、着工が9月1日より前なら通常の調査が必要です。
どんな建物用途が特に重点調査対象ですか?
法令は用途で調査の範囲を変えておらず、どの建物でも解体・改修する部分のすべての材料を調べます。そのうえで、環境省の資料では吹付け石綿は鉄骨造建築物の軽量耐火被覆材として大量に使われたとされているため、鉄骨造の事務所ビル・工場・倉庫などでは吹付け材の有無を特に確かめます。住宅でも屋根スレートや外壁材などに石綿含有建材が使われていることがあります。
まとめ
アスベストは1955年頃から2006年9月の全面禁止まで、段階的に規制されながら使われ、築年代によって使われた建材が違うことがあります。吹付け石綿は1971〜72年が最需要期で、1975年に5重量%を超える吹付けが原則禁止、2004年10月に石綿含有建材の製造・使用等が禁止されました。事前調査の基準は竣工日ではなく着工日で、2006年9月1日以降の着工なら着工日を書面で確かめる方法で調査ができます。築年代と建物用途を手がかりに重点調査箇所を見極め、分からない材料は分析するか含有ありとみなして対策をとることが、解体・改修工事の安全とコンプライアンスの両立につながります。
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