アスベスト事前調査の有資格者義務化(2023年10月〜)完全ガイド

公開日:2026-05-19 最終更新:2026-10-11

2023年10月1日から、建築物の解体・改修工事の前に行うアスベスト事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの資格者が行う必要があります(石綿障害予防規則3条4項)。事前調査そのものは以前からの義務で、調査結果の報告は2022年4月1日から始まっています。

石綿等は、一部のガスケット・グランドパッキンを除き、2006年9月1日から製造・使用などが禁止されています(労働安全衛生法55条・同法施行令16条)。それより前に建てられた建物の解体・改修では、石綿含有建材が残っている可能性があります。本記事では、2023年10月から始まった資格者の要件を中心に、対象工事・報告・罰則を、条文と厚生労働省の通達に基づいて整理します(2026年10月11日確認)。

アスベスト事前調査の有資格者義務化(2023年10月〜)完全ガイド

事前調査の対象となる工事はどれですか?

建築物の解体・改修・補修工事は、規模を問わずすべてが事前調査の対象です。解体部分の床面積の合計80㎡以上の解体工事、請負代金100万円(税込)以上の改修工事などは、調査結果の報告も必要です。

対象となる工事は以下の通りです(石綿障害予防規則3条・大気汚染防止法18条の15):

  • 建築物の解体工事(規模問わずすべて)
  • 建築物の改修・補修工事(規模問わずすべて)
  • 工作物(煙突・配管設備・ボイラー等)の解体・改修工事 ※告示で定める工作物は2026年1月から資格者による調査が必要

さらに、以下の規模に当たる工事は、元請業者が調査結果を電子システムで報告する義務があります(2022年4月〜)。建築物・工作物の報告は、システムを通じて労働基準監督署と自治体の両方に届きます:

  • 建築物の解体工事:解体部分の床面積の合計80㎡以上
  • 建築物の改修工事:請負代金100万円以上(税込)
  • 告示で定める工作物の解体・改修工事:請負代金100万円以上(税込)
  • 船舶(鋼製・総トン数20トン以上)の解体・改修工事

調査を行える有資格者とは?

調査を行える有資格者とは?

建築物石綿含有建材調査者(特定・一般・一戸建て等の3区分)、またはこれらと同等以上の能力を有すると認められる者が実施できます。特定・一般はすべての建築物、一戸建て等は一戸建ての住宅と共同住宅の住戸の内部に限られます。

建築物石綿含有建材調査者の講習は、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程に基づいて登録された機関が行います。3つの区分があります:

区分 調査可能な建築物
特定建築物石綿含有建材調査者 すべての建築物
一般建築物石綿含有建材調査者 すべての建築物(一戸建て住宅・共同住宅の住戸の内部を含む)
一戸建て等石綿含有建材調査者 一戸建ての住宅と共同住宅の住戸の内部に限る

出典:厚生労働省 基発0804第8号(令和2年8月4日)第2(事前調査者告示)。講習の時間・内容は登録講習機関の案内でご確認ください。

※ 登録者数は国土交通省が随時公表しています。最新の登録者数は国土交通省 建築物石綿含有建材調査者制度等についてをご確認ください。

違反した場合の罰則は?

違反した場合の罰則は?

大気汚染防止法では、調査結果の報告をしない・偽ると30万円以下の罰金、作業基準適合命令に違反すると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。石綿障害予防規則の事前調査(資格者による調査を含む)を怠ると、労働安全衛生法上の罰則の対象になりえます。

違反内容 根拠法 罰則
調査結果の報告をしない・偽りの報告 大気汚染防止法 35条4号 30万円以下の罰金
届出対象の工事で届出をしない・偽りの届出 大気汚染防止法 34条1号 3月以下の拘禁刑 / 30万円以下の罰金
作業基準適合命令(18条の21)などへの違反 大気汚染防止法 33条の2第1項2号 6月以下の拘禁刑 / 50万円以下の罰金
事前調査(石綿障害予防規則3条)を怠る 労働安全衛生法 罰則の対象になりえます(適用される条は事案により異なります)
アスベスト廃棄物の不法投棄 廃棄物処理法 25条1項14号 5年以下の拘禁刑 / 1,000万円以下の罰金(併科あり。法人は3億円以下:32条1項1号)

大気汚染防止法には、事前調査をしなかったこと自体を対象とする罰則はありません。法人には両罰規定(大気汚染防止法36条・労働安全衛生法122条)により罰金刑が科されます。出典:e-Gov法令検索(2026年10月11日確認)。

どこに依頼すれば良いですか?

建築物石綿含有建材調査者が在籍する専門業者に依頼してください。見積もりの段階で、調査を担当する人の講習修了証明書の写しを見せてもらうと確実です。

業者選定時には、以下を確認しましょう:

  • 建設業許可番号(特定/一般・工事の内容に合った業種。請負代金500万円以上の工事)の保有
  • 産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県別)の保有
  • 建築物石綿含有建材調査者(特定・一般)の在籍人数
  • 石綿作業主任者の在籍人数
  • 過去の調査実績・施工事例の開示可否
  • 分析調査機関との連携(JIS A 1481準拠の精度確保)

よくある質問

Q1. 2023年10月の義務化の対象は誰ですか?

A. 解体・改修の工事を行う事業者(工事の元請業者など)です。2023年10月からは、建築物の事前調査を建築物石綿含有建材調査者などの資格者に行わせる必要があります(石綿障害予防規則3条4項)。解体部分の床面積の合計80㎡以上の解体工事、請負代金100万円(税込)以上の改修工事などでは、2022年4月から調査結果の報告も必要です(同規則4条の2)。

Q2. 事前調査を省略するとどうなりますか?

A. 石綿障害予防規則の事前調査(3条)を怠ると、労働安全衛生法上の罰則の対象になりえます。大気汚染防止法には、事前調査をしなかったこと自体を対象とする罰則はありませんが、調査結果の報告をしない・偽ると30万円以下の罰金(35条4号)、届出が必要な工事で届出をしない・偽ると3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(34条1号)の対象です。両罰規定により法人にも罰金刑が科されます(36条)。

Q3. 事前調査は誰が実施できますか?

A. 建築物の事前調査は、一般・特定建築物石綿含有建材調査者(すべての建築物)、一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建ての住宅と共同住宅の住戸の内部に限る)、またはこれらと同等以上の能力を有すると認められる者が行います。告示で定める工作物の事前調査は、2026年1月から一定の要件を満たす者が行う必要があります。

まとめ

アスベスト事前調査は規模にかかわらず以前からの義務で、2023年10月1日からは建築物の調査を資格者が行う必要があります。報告の対象になる規模の工事では、元請業者が着工前に電子システムで報告します。工事の日程が決まったら、早めに資格者のいる業者へ相談しておくと安心です。

参考リンク

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