アスベスト解体業者の選び方|失敗しない7つのチェックポイント
公開日:2026-05-19 最終更新:2026-10-11
※ 本記事に記載の費用相場・補助金額・統計・登録者数・法令等の数値は、記事の作成・更新時点の情報です。法令改正や制度改定により変わるため、最新の情報は各自治体公式サイト(.lg.jp)・厚生労働省・国土交通省・環境省の公表値を必ずご確認ください。
アスベスト解体業者選びの最重要ポイントは7つです。建設業許可・産廃許可・有資格者数・自社施工率・施工実績・マニフェスト交付・透明な見積書を必ず確認しましょう。
アスベスト除去工事は健康・法令・環境のすべてに関わる重大な工事です。業者選定を誤ると、健康被害・法令違反・トラブルのリスクが大きくなります。本記事では、業者選びで失敗しないための7つのチェックポイントを、業界標準と公的データに基づいて解説します。

チェック1:建設業許可は持っていますか?
請負代金500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)の工事は、建設業許可がなければ請け負えません。建物を壊すだけの解体工事なら「解体工事業」の許可が必要で、500万円未満の解体工事でも建設リサイクル法の解体工事業登録が要ります。国交省サイトで許可情報を確認できます。
建設業許可の種類:
- 特定建設業許可:発注者から直接請け負い、下請代金の合計が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)となる元請業者向け(2025年2月1日改正後)
- 一般建設業許可:上記未満の元請または下請業者向け
許可の業種は工事の内容で決まります。建物を壊して更地にする工事は「解体工事業」(2016年6月に新設。それまでは、とび・土工工事業)、壊して建て替える工事は「建築一式工事」、専門工事で作られた部分(内装など)だけを撤去する工事はその専門工事の業種です。国土交通省の業種区分に、石綿除去だけを指す区分はありません。国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で許可番号を入力すれば、許可業種・有効期限・処分歴を確認できます。
チェック2:産業廃棄物の許可はありますか?

廃棄物を運ぶ業者には産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県ごと)が必要です。レベル1・レベル2の除去物は廃石綿等(特別管理産業廃棄物)となるため、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可も確認しましょう。
確認すべき廃棄物関連許可:
- 産業廃棄物収集運搬業許可(有効期間は原則5年、優良と認められた更新は7年。廃棄物処理法施行令6条の9)
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(廃石綿等を運ぶ場合)
- 処分業の自社保有または委託契約の有無
運搬だけを行う業者の場合、許可が必要なのは廃棄物の積み込み・荷下ろしをする区域を管轄する都道府県知事(政令市は市長)の許可で、通過するだけの都道府県の許可は要りません(廃棄物処理法14条1項)。許可証コピーの開示要請が可能です。
チェック3:有資格者は何名いますか?
石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者(特定・一般)の在籍人数を確認します。複数名在籍が望ましく、修了証コピーの開示要請が可能です。
確認すべき有資格者:
| 資格 | 必要性 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 石綿作業主任者 | 除去作業に必須(石綿障害予防規則19条) | 技能講習修了証コピー |
| 建築物石綿含有建材調査者(特定) | 建築物の事前調査(調査者のいずれかが必要) | 講習の修了証明書 |
| 建築物石綿含有建材調査者(一般) | 同上(すべての建築物。一戸建て住宅・共同住宅の住戸の内部も含む) | 同上 |
| 工作物石綿事前調査者 | 2026年1月1日以降に着工する工事で、反応槽・ボイラー・配管設備など告示で定める工作物の調査に必要 | 講習の修了証明書 |
| 石綿取扱作業従事者特別教育 | 石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に就く労働者に必要(27条) | 教育記録 |
在籍人数が複数名いる業者は組織的に教育・運用しており、突発的な欠員にも対応できます。1人だけ在籍の業者はその人が休んだ場合に対応不能となります。
チェック4:自社施工率は何%ですか?
自社施工率が高い業者の方が、施工品質・コストパフォーマンス・責任所在が明確です。「全部下請に投げる」業者は中間マージンと品質リスクが上がります。
自社施工率を確認するメリット:
- 施工品質を自社管理できる
- 中間マージンが発生せず費用が抑えられる
- 有資格者の現場配置が確実
- 不測の事態への対応が早い
- 責任所在が明確(下請丸投げ問題回避)
業者ヒアリング時に「現場の作業員は御社の正社員ですか?」「再下請けは何社入りますか?」と直接質問してください。
チェック5:過去の施工実績はどうですか?

過去5年以内の同種工事の実績数と、可能なら現場写真・施工事例の開示を確認します。守秘義務範囲で公開可能な事例があれば信頼性が高いです。
実績確認のポイント:
- 過去5年以内の同種工事件数
- 同レベル(L1/L2/L3)の対応経験
- 同規模・同用途建物での実績
- 現場写真の開示(個人特定不可化済)
- 守秘義務範囲外の発注者からの推薦
- 業界団体での表彰歴・登録歴
「実績はたくさんあります」と口頭でしか説明しない業者は、具体的な数字を聞き出すまで判断保留にしましょう。
チェック6:マニフェストは交付しますか?
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付・5年間保管は廃棄物処理法上の義務です。開示要請に応じる業者を選びましょう。
マニフェスト関連の確認事項:
- マニフェスト交付の有無(交付は法令義務)
- 電子マニフェストの活用(JWNET)
- 5年間の保管体制
- 発注者への写し開示の対応
- マニフェストD票(処分終了)・E票(最終処分終了)の確認
マニフェスト交付を渋る・「現場で渡す」「後日郵送」と曖昧な対応の業者は、不法投棄等のリスクがあるため避けるべきです。
チェック7:見積書は透明で具体的ですか?
見積書には除去面積・レベル別単価・廃棄物処分費・行政届出の書類準備費(含む場合)・税込総額が明記されているかを確かめます。一式・どんぶり勘定は警戒対象です。
適正な見積書の必須項目:
- 事前調査費(書面・現地・分析の内訳)
- 除去工事費(レベル別単価×面積)
- 養生・隔離工事費
- 負圧除じん装置・保護具費
- 廃棄物処分費(運搬・処分の内訳)
- 行政届出の書類準備費(含む場合)
- 諸経費(現場管理費等)
- 消費税明記(税込総額)
- 有効期限・追加費用発生条件
点検商法・訪問販売には注意
「無料点検」「補助金100%」「即日除去」を謳う訪問販売業者は警戒してください。訪問販売の契約は、契約書面などを受け取った日から8日間はクーリング・オフができ(特定商取引法9条)、複数業者の比較が重要です。
点検商法で注意したい手口の例:
- 「無料点検」と称して訪問し、不安を煽る
- 「アスベストが見つかった」と高額契約を迫る
- 「補助金で全額カバー」と誤認させる
- その場で契約を迫り、見積比較を妨害する
- クーリングオフを伝えない・妨害する
訪問販売の契約には、特定商取引法により、契約書面などを受け取った日から8日間のクーリング・オフが認められています(同法9条)。少しでも不安があれば消費生活センター(188)へ相談してください。
よくある質問
Q1. 見積もりは何社から取るべきですか?
A. 3社程度から相見積もりを取ると比べやすくなります。アスベスト関連は適正価格の判断が難しいため、複数社の見積もりを比較することで相場感を把握できます。
Q2. 建設業許可は必須ですか?
A. 請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)の工事を請け負うには建設業許可が必要です。業種は工事の内容で決まり、建物を壊すだけの解体工事なら「解体工事業」の許可です。500万円未満の解体工事でも、建設リサイクル法の解体工事業登録(土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可があれば不要)が必要です。
Q3. 安すぎる業者は危険ですか?
A. 相場より極端に安い業者は、必要な飛散防止措置・廃棄物処理・有資格者配置を省略している可能性があります。法令違反の温床となるため警戒すべきです。
まとめ
アスベスト除去業者選びの7つのチェックポイントを再掲します:
- 建設業許可(解体工事業など、工事に合った業種)または解体工事業登録の有無
- 産業廃棄物収集運搬業許可の有無
- 石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者の在籍数
- 自社施工率の高さ
- 過去の施工実績
- マニフェスト交付・保管体制
- 透明で具体的な見積書
これらを満たさない業者は、価格が安くても法令違反や追加トラブルのリスクが高くなります。複数業者から相見積もりを取り、上記7項目をすべて満たす業者を選びましょう。