アスベスト レベル2(保温材・断熱材・耐火被覆材)除去費用と工事の流れ完全ガイド
公開日:2026-05-25 最終更新:2026-10-11
本記事は費用の考え方を整理したもので、金額を保証するものではありません。実際の費用は配管延長・煙突高さ・施工箇所・廃棄物量により大きく変動します。正式金額は必ず有資格者による現地調査後の見積書をご確認ください。法令の最新情報は環境省 大気汚染防止法 石綿関連等の公的機関でご確認ください。
アスベスト含有保温材・断熱材(レベル2)の除去費用は、公的な相場の統計がなく、現地調査のうえ内訳を示した正式見積書で確定します。保温材等の切断等を伴う除去ではレベル1と同じく隔離養生・負圧除じん装置が原則必要で(石綿障害予防規則6条)、切断等を伴わない場合も立入禁止の表示・湿潤化などが必要です(同7条・13条)。
国土交通省は、アスベスト含有保温材・断熱材・耐火被覆材を「次いで飛散性の高いレベル2」に分類しています(国土交通省「アスベスト対策Q&A」)。配管保温材・煙突断熱材・耐火被覆材などに使われ、解体・改修工事では飛散防止の措置が必要です。本記事では、レベル2除去費用の相場・工事の流れ・費用変動要因・補助金活用を整理します。

レベル2アスベストの除去費用相場はいくらですか?
費用はレベル・面積・作業条件で大きく変わり、保温材・断熱材・耐火被覆材の除去費用について国などが公表した相場の統計は見当たりません。配管延長・煙突高さ・養生難易度・廃棄物量により、同じ面積でも大きな差が出ます。
レベル2除去工事の費用構成と、金額が変わる主な要因は次の通りです:
| 費用項目 | 金額が変わる主な要因 |
|---|---|
| 除去本体工事 | 面積・保温材の厚さ・配管の形状 |
| 事前調査・分析 | 建材点数・検体数・定性分析か定量分析か |
| 隔離養生・前室設置(切断等を伴う場合) | 配管網・煙突の高さ |
| 負圧除じん装置(切断等を伴う場合) | 台数・工期 |
| 廃石綿等(特別管理産業廃棄物)の運搬・処分 | 量・運搬距離・処分施設 |
| 大気濃度測定・完了報告 | 測定の有無と回数(自治体の条例・指導や発注者の求めによる) |
※ 項目ごとの金額は現地調査後の正式見積書で確定します。国土交通省が公表している除去費用の目安(2007年の施工実績)は吹付け材が対象で、保温材・断熱材には当てはまりません(費用相場の解説)。
レベル2の建材が使われていることがある場所の例:
- 配管保温材:給湯管・蒸気管・冷温水管などの配管保温施工
- 煙突断熱材:煙突内側の断熱材・ボイラー煙道周辺
- 耐火被覆材:鉄骨柱・梁の耐火被覆(巻付け・成形板系)
- ダクト保温材:空調ダクトの外周保温施工
なぜレベル2もレベル1と同程度の対策が必要ですか?

レベル2の保温材・断熱材はレベル1に次いで飛散性が高く、切断・破砕を伴う除去では、石綿障害予防規則(6条)と大気汚染防止法の作業基準(同法施行規則 別表第七)によりレベル1と同じく隔離・集じん排気・負圧の保持・湿潤化が求められます。切断等を伴わずにそのまま取り外す場合も、立入禁止の表示や湿潤化などの措置が必要です。
切断等を伴うレベル2の除去で必要な飛散防止措置:
- 隔離:作業区域を他の場所から隔離し、前室・洗身室・更衣室をこの順に通るよう設置(石綿障害予防規則6条2項)
- 集じん・排気装置:HEPAフィルタ付きの集じん・排気装置で排気し、作業区域と前室を負圧に保つ(同6条2項、大気汚染防止法施行規則 別表第七)
- 湿潤化:保温材を湿らせて粉じんの飛散を抑える(同13条)
- 呼吸用保護具・作業衣:呼吸用保護具と、作業衣または保護衣を使う(同14条)
- 特別管理産業廃棄物処分:レベル1と同じ処分区分
- 除去完了の確認:隔離を解く前に除去した部分を湿潤化し、石綿の知識を有する者が除去の完了を確認(石綿障害予防規則6条3項)。大気濃度測定は全国一律の法定義務ではなく、自治体の条例・指導で求められる場合がある
法令の根拠は、石綿障害予防規則と大気汚染防止法(特定粉じん排出等作業)です。大気汚染防止法では、作業基準適合命令などに違反すると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(33条の2)。石綿障害予防規則に違反すると、労働安全衛生法上の罰則の対象になりえます。
配管保温材の除去工事の流れは?

事前調査→分析→行政届出(届出対象の作業は開始14日前まで)→配管周辺の隔離(切断等を伴う場合)→負圧管理→湿潤化・配管保温材の除去→清掃・除去完了の確認→廃棄物処分という流れです。工期は配管の長さと条件で変わります。
- 事前調査:建築物石綿含有建材調査者などが書面と目視で調べ、分からない材料は試料を採る(工作物の配管設備は工作物石綿事前調査者。2026年1月1日以降に着工する工事)
- 分析調査:分析調査者が JIS A 1481 などの方法で分析(分析せずに石綿を含むものとみなすこともできる。石綿障害予防規則3条5項・6項)
- 作業計画・行政届出:作業計画を作り(同4条)、発注者(自主施工者)が作業開始の14日前までに都道府県知事(政令で定める市では市長)へ届け出る(大気汚染防止法18条の17)
- 配管周辺の隔離:切断等を伴う場合は作業区域を隔離し、前室・洗身室・更衣室を設ける(同6条2項)。点検口・配管シャフトも養生する
- 負圧管理:HEPAフィルタ付きの集じん・排気装置を設け、作業区域と前室を負圧に保つ
- 湿潤化・除去:保温材を湿らせて剥離・除去する(同13条)
- 清掃・除去完了の確認:HEPA掃除機で清掃し、隔離を解く前に除去した部分を湿潤化して、石綿の知識を有する者が除去の完了を確認(石綿障害予防規則6条3項)。大気濃度測定は自治体の条例・指導で求められる場合に行う
- 廃棄物処分:廃石綿等(特別管理産業廃棄物)として扱い、運搬・処分を委託するときはマニフェストを交付(廃棄物処理法12条の3)
- 結果の報告:元請業者が作業の結果を発注者に書面で報告し、作業の記録を作って保存(大気汚染防止法18条の23)
配管保温材の除去は配管の撤去と一緒に行うことがあり、給排水・空調設備を止める必要が出ることがあります。建物使用中の場合、代替設備の確保・工事スケジュール調整が重要です。
煙突断熱材の除去工事の流れは?
事前調査→分析→行政届出→煙突外周+内側の隔離養生→足場仮設→負圧管理→湿潤化・煙突内側の断熱材除去→清掃・除去完了の確認→廃棄物処分という流れです。煙突高さにより足場費用が大きく変動します。
煙突断熱材除去の特徴は、煙突という縦長構造物に対する養生・足場対応の難しさです。
- 事前調査・分析:材料が場所によって違うことがあるため、必要に応じて複数の箇所から試料を採る
- 行政届出:発注者(自主施工者)が作業開始の14日前までに都道府県知事(政令で定める市では市長)へ届け出る(大気汚染防止法18条の17)
- 煙突外周の足場仮設:煙突の高さに応じた仮設足場を組む
- 隔離:開口部をふさぐなどして作業区域を隔離する(切断等を伴う場合。石綿障害予防規則6条2項)
- 負圧管理:集じん・排気装置で作業区域を負圧に保ち、外への飛散を防ぐ
- 湿潤化・除去:断熱材を湿らせて除去する(同13条)
- 清掃・除去完了の確認:HEPA掃除機で清掃し、石綿の知識を有する者が除去の完了を確認(石綿障害予防規則6条3項)。大気濃度測定は自治体の条例・指導で求められる場合に行う
- 廃棄物処分:廃石綿等(特別管理産業廃棄物)として処分
- 足場解体・結果の報告:足場を解体し、元請業者が作業の結果を発注者に書面で報告(大気汚染防止法18条の23)
2026年1月1日以降に着工する工事では、建築物に設ける排煙設備などを除く煙突は「工作物」として、工作物石綿事前調査者または一般・特定建築物石綿含有建材調査者などが事前調査を行う必要があります(厚生労働省・環境省の周知資料)。業者を選ぶときは、調査者の修了証などを確認してください。詳細は工作物アスベスト2026年改正の解説もご参照ください。
レベル1との費用差はどこから生まれますか?

レベル1とレベル2の費用を比べた公的なデータはありません。違いが出やすいのは、隔離などが必要な作業の範囲です。保温材等では、隔離などが必要なのは切断等を伴う作業に限られます(石綿障害予防規則6条1項)。
費用の違いにつながる主な点:
| 項目 | レベル1(吹付け) | レベル2(保温材・断熱材) |
|---|---|---|
| 隔離などが必要な作業 | 除去・封じ込め(囲い込みは切断等を伴う場合)(6条1項1号) | 切断等を伴う除去・封じ込め・囲い込み(6条1項2号) |
| 切断等を伴わない場合 | — | 作業場所への立入禁止とその表示(7条)・湿潤化(13条)など |
| 呼吸用保護具 | 隔離した場所での除去は電動ファン付き呼吸用保護具など(14条) | 呼吸用保護具(14条) |
| 主な対象物の例 | 天井・壁・梁など | 配管・煙突・ダクト・鉄骨の耐火被覆など |
| 廃棄物の区分 | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) | 廃石綿等(特別管理産業廃棄物) |
配管が入り組んでいて切断等が避けられない現場では、レベル2でもレベル1と同様の措置が必要になり、費用も近くなることがあります。
レベル別の詳細費用比較はアスベスト除去費用の全国相場2026もご参照ください。
補助金は使えますか?
国の「住宅・建築物アスベスト改修事業」(社会資本整備総合交付金)の対象は、吹付け建材の含有調査と、吹付けアスベスト等の除去・封じ込め・囲い込みなどです(交付要綱 イ-16-(12)-②)。保温材・断熱材が自治体の補助の対象になるかは、該当自治体に確認してください。
レベル2の補助金を調べるときのポイント:
- 国の交付金:要綱の対象は吹付け建材の含有調査と吹付けアスベスト等の除去等。保温材・断熱材は要綱に書かれていない
- 自治体の制度:対象・上限額・申請窓口は自治体ごとに違う
- 申請の時期:工事の契約・着工の前に申請が要る制度もあるため、募集要項で確かめる
補助金の詳細は市区町村別アスベスト除去補助金一覧とアスベスト解体補助金の全国制度ガイドもあわせてご確認ください。
よくある質問
Q1. レベル2の除去費用相場はいくらですか?
A. アスベスト含有保温材・断熱材・耐火被覆材(レベル2)の除去費用は、公的な相場の統計がなく、レベル・面積・作業条件で大きく変わります。配管・煙突の形状複雑度や延長距離により大きく変動するため、必ず現地調査後の正式見積書をご確認ください。
Q2. レベル2もレベル1と同程度の対策が必要ですか?
A. 保温材等の切断等を伴う除去では、レベル1と同じく作業場所の隔離・集じん・排気装置の設置・負圧の保持が原則必要です(石綿障害予防規則6条)。切断等を伴わずに取り外す場合も、立入禁止の表示や湿潤化などの措置が必要です(同7条・13条)。廃棄物は廃石綿等(特別管理産業廃棄物)として処分します。
Q3. レベル1とレベル2の費用差はなぜ生まれますか?
A. 費用を比べた公的なデータはありません。違いが出やすいのは、隔離などが必要な作業の範囲です。吹付け材の除去では隔離などが原則必要ですが、保温材等では切断等を伴う作業に限られます(石綿障害予防規則6条1項)。切断等をせずに取り外せれば、作業場所への立入禁止とその表示(同7条)や湿潤化(同13条)などで済み、設備の負担は小さくなりやすいです。配管が入り組んでいて切断等が避けられない現場では、レベル1と同様の措置が必要です。
Q4. レベル2にも補助金は使えますか?
A. 国の「住宅・建築物アスベスト改修事業」(社会資本整備総合交付金)の対象は、吹付け建材の含有調査と、吹付けアスベスト等の除去・封じ込め・囲い込みなどです(交付要綱 イ-16-(12)-②)。保温材・断熱材が自治体の補助の対象になるかは自治体ごとに違うため、該当自治体の公式ページや募集要項で確かめてください。
まとめ
アスベスト含有保温材・断熱材・耐火被覆材(レベル2)の除去費用は、公的な相場の統計がなく、レベル・面積・作業条件で大きく変わります。レベル1に次いで飛散性が高く、保温材等の切断等を伴う除去ではレベル1と同じく隔離・集じん排気・負圧の保持が原則必要で(石綿障害予防規則6条)、除去物は廃石綿等(特別管理産業廃棄物)として処分します。配管保温材・煙突断熱材の場合、対象物の形状と高さで費用が大きく変動するため、必ず有資格者による現地調査後の正式見積書を取得してください。2026年1月1日以降に着工する工事では、煙突・配管設備などの工作物も、種類に応じた資格者が事前調査を行う必要があります。