アスベスト工作物事前調査者の必須化(2026年1月)|対象工作物と新制度の全貌
公開日:2026-05-19 最終更新:2026-10-11
※ 本記事に記載の費用相場・補助金額・統計・登録者数・法令等の数値は、記事の作成・更新時点の情報です。法令改正や制度改定により変わるため、最新の情報は各自治体公式サイト(.lg.jp)・厚生労働省・国土交通省・環境省の公表値を必ずご確認ください。
2026年1月1日から、石綿使用のおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物の解体・改修では、事前調査を厚生労働大臣が定める者が行う必要があります(石綿障害予防規則3条4項、令和5年厚生労働省令第2号)。
建築物の事前調査は2023年10月から、工作物は2026年1月から、一定の要件を満たす者が行う必要があります(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)。本記事では、資格者要件の考え方・対象工作物の確かめ方・発注者の準備を、公的資料に沿って整理します。

工作物の事前調査の資格者要件とは何ですか?
石綿障害予防規則3条4項により、石綿使用のおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物の事前調査は、厚生労働大臣が定める者に行わせる必要があります。この要件は令和5年厚生労働省令第2号で追加され、2026年1月1日に施行されます。
制度の概要:
- 根拠:石綿障害予防規則3条4項、令和5年厚生労働省令第2号(附則:令和8年1月1日施行)
- 役割:対象工作物の解体・改修工事における事前調査
- 資格者の要件・講習の内容:厚生労働大臣の定めによる(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイトで確認)
建築物の事前調査の資格者要件(2023年10月〜)とは施行時期が異なります。
対象となる工作物はどう確かめますか?

対象は、石綿が使われているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物(特定工作物)です。反応槽・加熱炉・ボイラー及び圧力容器・配管設備・焼却設備・貯蔵設備・発電設備・変電設備・配電設備・送電設備・煙突・トンネルの天井板・プラットホームの上家・遮音壁・軽量盛土保護パネル・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板・観光用エレベーターの昇降路の囲いの17種類で、建築物に設ける給水・排水・換気・冷暖房・排煙などの建築設備、穀物を貯蔵する設備、太陽光・風力発電設備などは除かれます(厚生労働省・環境省の周知資料 別添1)。
確かめ方のポイント:
- 解体・改修を予定している設備が告示の対象に当たるかを、厚生労働省の資料で照らし合わせる
- 当たらない工作物でも、塗料など石綿が使われているおそれのある材料を除去する作業は事前調査の対象になる(石綿障害予防規則3条4項ただし書)
- 特定工作物以外の工作物の例:エレベーター、エスカレーター、コンクリート擁壁、電柱、公園遊具、鳥居、作業用足場などの仮設構造物、観覧車などの遊戯施設(同 別添1)
- 判断に迷うときは、依頼する業者に告示のどれに当たるかを説明してもらう
なぜ新制度が必要になったのですか?
石綿のばく露と飛散・漏えいを防ぐ対策の一つで、事前調査を「適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者」に行わせるための決まりです(石綿障害予防規則3条4項)。建築物の事前調査は2023年10月から資格者が行う必要があり、工作物は2026年1月からになります(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)。
施行時期の整理:
- 2023年10月:建築物の事前調査を資格者が行う必要がある
- 2026年1月:特定工作物の事前調査と、それ以外の工作物で塗料などを除去する作業の事前調査も、資格者が行う必要がある(令和8年1月1日以降に着工する工事)
資格はどう取得しますか?
工作物石綿事前調査者などの講習を修了します。講習を実施する機関や受講資格は、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイト(https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/course/)に掲載されています。厚生労働省・環境省は講習の申込みが集中すると見込み、計画的な申込みを求めています(周知資料)。
確認の手順:
- 厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトで、工作物の調査を行える者の要件を確認する
- 要件に当たる講習を実施している機関を、同サイトや各機関の案内で確認する
- 受講後に交付される修了の証明書の内容を、要件と照らし合わせる
資格を取りたい方は、必ず公式の案内で最新の要件を確かめてから申し込んでください。
業界への影響はどうなりますか?

対象の工作物を解体・改修する場合、事前調査を行える者が必要になります。件数や費用への影響について、公的な推計は確認できていません。
発注者にとっての主な影響:
- 業者選定:事前調査を行える者が誰かを、依頼前に確認する
- スケジュール:調査と、必要な報告・届出の時間を見込んでおく
- 費用:見積書で調査費用の範囲と内訳を確認する
工場・プラント・発電所等の保有企業は、2026年1月以降の解体・改修計画について、早めに業者へ相談してください。
発注者として準備すべきことは?
2026年以降の解体・改修計画がある場合、工作物の事前調査を行える者がいる業者を早めに確かめましょう。図面・施工記録の準備も並行して進めます。
発注者の準備チェックリスト:
- 対象工作物の有無の確認(自社施設の棚卸)
- 着工日・施工年代の確認
- 過去の図面・施工記録の整理
- 工作物の事前調査を行える者がいる業者のリストアップ
- 建築物・工作物の両方を扱える業者の優先確保
- 解体・改修計画のスケジュール余裕を確保
- 特定工作物の解体・改修で請負金額が100万円以上(税込)なら、元請業者などが事前調査の結果を労働基準監督署と都道府県などへ報告する(石綿が無かった場合も必要)
違反するとどうなりますか?
2026年1月以降、告示で定める工作物の事前調査を要件を満たさない者が行うと法令違反となり、労働安全衛生法上の罰則の対象になりえます。大気汚染防止法では、調査結果の報告をしない・偽ると30万円以下の罰金(35条4号)、届出が必要な作業で届出をしない・偽ると3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(34条1号)です。
法令に反する例:
- 資格のない者による事前調査
- 事前調査をしないままの着工
- 調査結果の偽造・改ざん
- 事前調査の記録を作らない・3年間保存しない(石綿障害予防規則3条7項)
大気汚染防止法では、作業基準が守られていないとき、都道府県知事が作業基準に従うことや作業の一時停止を命じることができ(18条の21)、この命令に違反すると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(33条の2第1項2号)。
よくある質問
Q1. いつから工作物の事前調査に資格者が必要になりますか?
A. 2026年1月1日からです(令和5年厚生労働省令第2号の附則)。石綿使用のおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物の解体・改修では、事前調査を厚生労働大臣が定める者が行う必要があります(石綿障害予防規則3条4項)。
Q2. 建築物の調査者の資格で工作物も調査できますか?
A. 工作物の種類によります。反応槽・加熱炉・ボイラー及び圧力容器・配管設備・焼却設備・貯蔵設備・発電設備・変電設備・配電設備・送電設備は、工作物石綿事前調査者だけが調査できます。煙突・トンネルの天井板・プラットホームの上家・遮音壁・軽量盛土保護パネル・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板・観光用エレベーターの昇降路の囲いは、工作物石綿事前調査者のほか、一般建築物石綿含有建材調査者・特定建築物石綿含有建材調査者、令和5年9月までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者も調査できます(厚生労働省・環境省の周知資料 別添1)。
Q3. 対象となる工作物はどう確かめますか?
A. 石綿使用のおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物(特定工作物。反応槽・ボイラー・配管設備・煙突など17種類)が主な対象です。それ以外の工作物でも、塗料その他の石綿使用のおそれがある材料の除去等の作業に係る事前調査には資格者が必要です(石綿障害予防規則3条4項ただし書)。17種類の一覧は、厚生労働省・環境省の周知資料(令和7年6月23日)の別添1で確かめられます。
まとめ
2026年1月1日から、石綿使用のおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物の事前調査は、厚生労働大臣が定める者が行う必要があります。発注者は、対象工作物の棚卸しと、事前調査を行える者がいる業者の確認を早めに進めてください。具体的な対象・要件は、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトで確かめられます。