アスベスト工事の届出完全ガイド|書類・提出先・14日前ルール

公開日:2026-05-19 最終更新:2026-10-11

※ 本記事に記載の費用相場・補助金額・統計・登録者数・法令等の数値は、記事の作成・更新時点の情報です。法令改正や制度改定により変わるため、最新の情報は各自治体公式サイト(.lg.jp)・厚生労働省・国土交通省・環境省の公表値を必ずご確認ください。

アスベスト除去工事の手続きは、都道府県への「届出」(発注者が作業開始の14日前まで)、労働基準監督署への計画届・作業届(事業者)、事前調査結果の「報告」(元請業者が電子システムで)の3系統に分かれます。届出と報告は、出す人も期限も別です。

アスベスト除去工事は、解体・改修工事の中でも特に行政手続きが多い分野です。複数の法律にまたがる届出・報告を、それぞれ正しい提出先・期限で行う必要があります。本記事では、必要な書類・提出先・期限を、大気汚染防止法・石綿障害予防規則・労働安全衛生法・建設リサイクル法の条文に沿って整理します(2026年10月11日確認)。

アスベスト工事の届出完全ガイド|書類・提出先・14日前ルール

どんな届出が必要ですか?

主に5種類です。特定粉じん排出等作業実施届出(都道府県)・建設工事計画届または作業届(労基署)・事前調査結果の報告(電子システム)・建設リサイクル法の届出(都道府県知事あて)が中心です。どれが必要かは、建材の種類と工事の規模で決まります。

アスベスト関連工事で必要な届出・報告の一覧:

書類出す人提出先期限根拠
特定粉じん排出等作業実施届出発注者・自主施工者都道府県知事(政令で定める市では市長)作業開始の14日前まで大気汚染防止法18条の17
建設工事計画届事業者労働基準監督署長仕事の開始の14日前まで労働安全衛生法88条3項・労働安全衛生規則90条
作業届(計画届を出す場合は不要)事業者労働基準監督署長あらかじめ石綿障害予防規則5条
事前調査結果の報告元請業者・自主施工者電子システム(労基署と自治体の両方に届く)工事の前(あらかじめ・遅滞なく)石綿障害予防規則4条の2・大気汚染防止法18条の15第6項
建設リサイクル法の届出発注者・自主施工者都道府県知事(窓口は自治体の案内で確認)工事に着手する日の7日前まで建設リサイクル法10条1項

出典:e-Gov法令検索(2026年10月11日確認)。大気汚染防止法の届出の受理は、政令で定める市(大気汚染防止法施行令13条)では市長が行います。大気汚染防止法の届出の対象は、吹付け石綿と、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材に関わる作業です(大気汚染防止法施行令10条の2)。

特定粉じん排出等作業実施届出書とは?

特定粉じん排出等作業実施届出書とは?

吹付け石綿や、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材の除去などの作業を、発注者(または自主施工者)が都道府県知事に届け出る大気汚染防止法の手続きです。作業開始の14日前までに提出します(18条の17第1項・施行令10条の2)。

主な記載事項(大気汚染防止法18条の17第1項):

  • 発注者と元請業者(または自主施工者)の氏名・名称・住所(法人は代表者の氏名)
  • 工事の場所
  • 対象となる建材の種類・使用箇所・使用面積
  • 作業の種類・実施の期間・方法など(18条の15第1項に掲げる事項)

届出には、建築物等の配置図など環境省令で定める書類を添付します(同条第3項)。様式は大気汚染防止法施行規則の様式第三の五です。提出先の窓口や電子申請の可否は、自治体の案内で確認してください。

事前調査結果報告とは?

2022年4月1日から始まった、元請業者(または自主施工者)が事前調査の結果を報告する制度です。解体部分の床面積の合計80㎡以上の解体工事・請負代金100万円(税込)以上の改修工事などが対象で、届出とは別の手続きです。

報告対象となる工事規模(石綿障害予防規則4条の2・大気汚染防止法施行規則16条の11):

  • 建築物の解体工事:解体部分の床面積の合計80㎡以上
  • 建築物の改修工事:請負代金100万円以上(税込)
  • 告示で定める工作物の解体・改修工事:請負代金100万円以上(税込)
  • 船舶(鋼製・総トン数20トン以上)の解体・改修工事

報告は「石綿事前調査結果報告システム」(電子申請・GビズIDが必要)で行い、システムを通じて労働基準監督署と自治体の両方に届きます。アスベスト含有の有無にかかわらず、上記の規模に当たる工事はすべて報告対象です。工事を分割して契約しても、一つの工事として合算して判断します(石綿障害予防規則4条の2第4項)。

建設工事計画届出書とは?

労働安全衛生法88条3項に基づき、事業者が仕事の開始の14日前までに所轄の労働基準監督署長へ提出する届出です。石綿関係では、吹き付けられた石綿等や、石綿を含む保温材・耐火被覆材等の除去・封じ込め・囲い込みの仕事が対象です(労働安全衛生規則90条)。

対象となる石綿関係の仕事(労働安全衛生規則90条):

  • 建築物・工作物・鋼製の船舶に吹き付けられている石綿等(石綿含有の仕上げ用塗り材を除く)の除去・封じ込め・囲い込み
  • 建築物・工作物・船舶に張り付けられている石綿含有の保温材・耐火被覆材等の除去・封じ込め・囲い込み(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限る)

これらの作業を行うときは、石綿障害予防規則5条の作業届も、あらかじめ労働基準監督署長に提出する必要があります。ただし、建設工事計画届を出す場合は作業届は不要です(同条第2項)。具体的な様式・添付書類は所轄の労働基準監督署に確認します。

建設リサイクル法届とは?

建設リサイクル法届とは?

一定規模以上の建設工事について、発注者(または自主施工者)が工事に着手する日の7日前までに都道府県知事あてに届け出る制度です(建設リサイクル法10条1項)。実際の受付窓口は自治体の案内で確認してください。

対象工事規模(建設リサイクル法施行令2条):

  • 建築物の解体工事:解体部分の床面積の合計80㎡以上
  • 建築物の新築・増築工事:床面積の合計500㎡以上
  • 建築物の修繕・模様替などの工事:請負代金1億円以上
  • 建築物以外の工作物の解体・新築等の工事:請負代金500万円以上

届出書には分別解体計画・廃棄物発生見込み量・処理方法等を記載します。

届出を怠るとどうなりますか?

大気汚染防止法の届出をしない・偽ると3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、事前調査結果の報告をしない・偽ると30万円以下の罰金です。労働安全衛生法の建設工事計画届を出さないと50万円以下の罰金になります。

主な罰則:

違反内容根拠法罰則
特定粉じん排出等作業実施届出をしない・偽りの届出大気汚染防止法 34条1号3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
事前調査結果の報告をしない・偽りの報告大気汚染防止法 35条4号30万円以下の罰金
建設工事計画届(88条3項)をしない労働安全衛生法 120条1号50万円以下の罰金
石綿障害予防規則の作業届・報告をしない労働安全衛生法罰則の対象になりえます(適用される条は事案により異なります)
建設リサイクル法の届出をしない・偽りの届出建設リサイクル法 51条1号20万円以下の罰金

法人には両罰規定(大気汚染防止法36条・労働安全衛生法122条・建設リサイクル法52条)により罰金刑が科されます。罰則とは別に、都道府県知事の計画変更命令(大気汚染防止法18条の18)や作業基準適合命令(18条の21)が出ることがあり、命令に違反すると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(33条の2第1項2号)。出典:e-Gov法令検索(2026年10月11日確認)。

届出と工事スケジュールの関係は?

届出が必要な工事では、作業開始の14日前までの届出を起点に逆算します。事前調査・分析・見積もり・書類作成の期間も含めて、余裕をもった日程を組む必要があります。

手続きの順番(期間は工事の規模や分析の方法で変わるため、業者に確認してください):

  1. 事前調査の依頼(業者選定を含む)
  2. 書面の確認・現地での目視調査・必要に応じた試料採取
  3. 分析調査(分析をせず石綿ありとみなす方法も選べます)
  4. 調査結果の説明・見積もりの提示
  5. 契約・届出書の作成
  6. 届出(届出が必要な作業は、開始の14日前まで)・事前調査結果の報告(工事の前)
  7. 工事の実施
  8. 廃棄物の処理・マニフェストの交付

吹付け石綿や石綿含有の保温材などの除去を「依頼したその日に始められる」とうたう業者には注意が必要です。これらの作業は、緊急の場合を除き、作業開始の14日前までに届け出る必要があるためです。届出の対象でない工事(石綿含有成形板だけの工事など)でも、着工の前に事前調査と、規模によっては結果の報告が必要です。

よくある質問

Q1. 届出は誰がしますか?

A. 書類によって違います。大気汚染防止法の特定粉じん排出等作業実施届出は、工事の発注者(または自主施工者)が都道府県知事に行います(18条の17第1項)。事前調査結果の報告は元請業者(または自主施工者)が行います(大気汚染防止法18条の15第6項・石綿障害予防規則4条の2)。労働安全衛生法の建設工事計画届と石綿障害予防規則の作業届は、事業者が労働基準監督署長に提出します。

Q2. 14日前を過ぎたらどうなりますか?

A. 届出が必要な作業は、作業の開始日の14日前までに届け出る必要があるため、開始日をずらすことになります(大気汚染防止法18条の17第1項)。災害など緊急に作業を行う必要がある場合は、速やかに届け出ます(同条第2項)。届出が必要なのは、吹付け石綿と、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材に関わる作業です(大気汚染防止法施行令10条の2)。石綿含有成形板などだけの工事は届出の対象外ですが、事前調査と、規模によっては結果の報告が必要です。

Q3. 届出書類は誰が作成しますか?

A. 施工業者が書類の準備を手伝うこともありますが、特定粉じん排出等作業実施届出は発注者(または自主施工者)の名義で行います。記載する内容(使用箇所・使用面積・作業の方法など)は事前調査の結果に基づくため、調査を行った業者と内容をすり合わせてから提出します。

まとめ

アスベスト除去工事の届出・報告は複数の法律にまたがり、出す人・提出先・期限がそれぞれ異なります。大気汚染防止法の届出は発注者(または自主施工者)、事前調査結果の報告は元請業者の義務です。業者選定時には、どの届出・報告をだれの名義でいつ出すのかを、見積もりの段階で確認しましょう。

参考リンク(公的一次ソース)

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