アスベスト除去業者の許可・資格の確認方法|建設業許可・産廃許可・有資格者チェック
公開日:2026-05-25 最終更新:2026-10-11
本記事は2026年10月時点の情報です。許可制度・確認方法・公的データベースは改正される可能性があります。最新の確認方法は国土交通省および工事所在地の都道府県産業廃棄物窓口でご確認ください。
アスベスト除去業者の発注前に確認したい許可・資格は、建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可・石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者の4つです。建設業許可は国土交通省の無料の検索システムで、産業廃棄物の許可は都道府県などの公表情報で、資格は修了証などの書面で確かめられます。
アスベスト除去工事は、施工不備が健康被害・行政命令・不法投棄リスクに直結する高難度業務です。発注先の許可・資格を発注前に確認することは、施主・建物所有者のリスク管理として不可欠な行動です。本記事では、無料で確認可能な公的データベースの活用方法と、業者選定での具体的なチェックポイントを整理します。

アスベスト除去業者が必ず持つべき許可は何ですか?
請負代金500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)の工事では、工事の内容に合った業種の建設業許可(建物を壊すだけの解体工事なら解体工事業)が必要です。廃棄物を運ぶ業者には産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県別)も必要です。加えて石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者の在籍が実務上不可欠です。
アスベスト除去業務には複数の許可・資格要件が組み合わされます。整理すると次の通りです:
| 許可・資格 | 所管・根拠 | 必要になる場面 |
|---|---|---|
| 建設業許可(工事の内容に合った業種。建物を壊すだけなら解体工事業) | 国土交通大臣・都道府県知事 | ★★★(500万円以上の工事など) |
| 産業廃棄物収集運搬業許可 | 都道府県知事(一つの指定都市・中核市の中だけで運ぶ場合などは市長。廃石綿等を運ぶ場合は特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可) | ★★★(廃棄物運搬時) |
| 石綿作業主任者 | 石綿作業主任者技能講習の修了者から選任(石綿障害予防規則19条) | ★★★(除去作業に必須) |
| 建築物石綿含有建材調査者 | 石綿障害予防規則3条4項 | ★★★(2023年10月1日以降に着工する建築物の事前調査) |
| 工作物石綿事前調査者 | 同上 | ★★★(2026年1月1日以降に着工する、反応槽・ボイラー・配管設備などの工作物の事前調査) |
| 石綿使用建築物等解体等業務の特別教育 | 石綿障害予防規則27条 | ★★★(除去などの作業に就く労働者) |
建設業許可は工事規模により必須となるかが変わります。500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の軽微な工事は許可不要のため、小規模なレベル3工事では許可なし業者と契約するケースもありますが、産業廃棄物の運搬には別途許可が必要となるため、廃棄物処理を含めた一連の業務遂行能力を確認することが重要です。なお、建物などを壊す解体工事は、500万円未満でも建設リサイクル法の解体工事業登録(土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可があれば不要)が必要です。
建設業許可番号をどうやって確認しますか?

国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で会社名から検索可能です。許可番号・許可業種(解体工事業など、工事の内容に合った業種か)・有効期限などを無料で確認できます。
確認の具体的手順は次の通りです:
- 国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システムにアクセス:「建設業者 検索 国土交通省」でWeb検索すると公式サイトにアクセスできます。
- 商号・名称で検索:業者の正式法人名を入力します。屋号と異なる場合があるため、見積書・契約書記載の正式名で検索します。
- 許可情報の確認:許可番号(国土交通大臣 第◯号 / 都道府県知事 第◯号)、許可業種(工事の内容に合った業種か。建物を壊すだけの工事なら「解体工事業」)、許可年月日、有効期限を確認します。
- 見積書・契約書との照合:検索結果の商号・所在地が、見積書・契約書の会社と同じかを確かめます。
確認のポイントは次の通りです:
- 工事の内容に合った業種の許可があるか:国土交通省の業種区分に、石綿除去だけを指す区分はありません。業種は工事の内容で決まり、建物を壊して更地にする工事は「解体工事業」、壊して建て替える工事は「建築一式工事」、専門工事で作られた部分(内装など)だけを撤去する工事はその専門工事(内装仕上工事業など)に当たります。見積もりの工事内容と許可業種が合っているかを確かめます。
- 有効期限内か:建設業許可は5年ごとに更新しないと効力を失うため(建設業法3条3項)、期限切れでないかをチェックします。
- 特定建設業 / 一般建設業の区分:発注者から直接請け負った工事で、下請代金の合計が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)となる下請契約を結ぶ場合は特定建設業許可が必要です(2025年2月1日の建設業法施行令改正後の金額)。
- 監督処分情報:過去の業務停止命令・営業停止命令の履歴も国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」で確認できます。
産業廃棄物収集運搬業許可の確認方法は?
都道府県別に許可されるため、各都道府県の産業廃棄物窓口または公式の業者一覧サイトで確認します。吹付け材や保温材などの除去で出る「廃石綿等」は特別管理産業廃棄物なので、運ぶ業者には特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。成形板などの「石綿含有産業廃棄物」は、産業廃棄物収集運搬業の許可で運べます。
産業廃棄物収集運搬業許可は、業を行う区域(運搬だけを行う場合は、積込み・積卸しを行う区域)を管轄する都道府県知事の許可が必要です。一つの指定都市・中核市の中だけで運ぶ場合などは、その市長の許可になります(廃棄物処理法14条1項・同法施行令27条)。確認のポイントを整理します:
- 都道府県などの公表情報:公式サイトで産廃許可業者の一覧を公開している都道府県・市もあります。「[都道府県名] 産業廃棄物 許可業者」で公式ページを探すか、担当窓口に問い合わせます。業者に許可証の写しを出してもらうのも確実です。
- 事業の範囲の確認:許可の事業の範囲に、運ぶ廃棄物の種類(廃石綿等、または石綿含有産業廃棄物を含む品目)が入っているかを確かめます。事業の範囲を広げるには変更の許可が必要です(廃棄物処理法14条の2第1項)。
- 収集運搬業 vs 処分業の区別:処分施設まで運ぶ収集運搬業の許可と、施設で処分する処分業の許可は別です。処分施設の所在地や運搬の距離は費用に影響します。
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業:レベル1・2の飛散性アスベスト廃棄物は「廃石綿等」として特別管理産業廃棄物に区分され、別途許可が必要です。
マニフェスト交付の有無も重要です。詳細はアスベスト廃棄物処分とマニフェスト管理もご参照ください。
石綿作業主任者の在籍をどう確認しますか?

業者公式サイト・会社案内・現地調査時のヒアリングで「石綿作業主任者 ◯名在籍」の記載・回答を確認します。修了証の提示を求めることも可能です。
石綿作業主任者は、石綿作業主任者技能講習の修了者から選任される資格者で(石綿障害予防規則19条)、作業の方法を決めて労働者を指揮し、保護具の使用状況を監視するなどの職務を担います(同20条)。在籍確認のポイントは次の通りです:
- 業者公式サイトの掲載:会社案内・有資格者一覧ページに「石綿作業主任者 ◯名在籍」と明記している業者が信頼性高めです。
- 会社パンフレット・名刺:実在の有資格者氏名が記載されているかチェックします。
- 修了証の提示要求:契約前に修了証コピーの提示を求めることは正当な確認行為です。拒否される場合は赤信号です。
- 現場配置の確認:実際の工事現場で作業を指揮する石綿作業主任者が誰かを契約前に確認します。下請業者が作業する場合は、その現場に誰が配置されるかも確かめます。
- 修了証の氏名:修了証の氏名と、現場に配置される人が同じかを確かめます。
役割と業務範囲の詳細は石綿作業主任者と関連資格の役割もご参照ください。
建築物石綿含有建材調査者の確認方法は?
事前調査を実施する有資格者の氏名・資格番号・区分(特定・一般・一戸建て等)を契約前に書面で開示してもらいます。資格区分は対象建物に対応しているかが確認ポイントです。
2023年10月1日以降に着工する建築物の工事では、事前調査は建築物石綿含有建材調査者などの資格者が行う必要があります(石綿障害予防規則3条4項)。確認時のチェックポイントは次の通りです:
- 資格区分の整合性:
- 特定建築物石綿含有建材調査者:すべての建築物対応
- 一般建築物石綿含有建材調査者:すべての建築物(一戸建て住宅・共同住宅の住戸の内部も含む)
- 一戸建て等石綿含有建材調査者:一戸建て住宅・共同住宅住戸内のみ
- 調査者氏名・資格番号の開示:事前調査の記録には「事前調査を行った者の氏名」を残すことが決まっています(石綿障害予防規則3条7項)。調査報告書に氏名と資格(修了証の番号など)が書かれているかを確認します。「弊社調査員」だけの記載では確かめられません。
- 調査者の自社所属 / 外注の確認:調査を外注する場合は、外注先の調査者の氏名・資格も開示してもらいます。
- 工作物石綿事前調査者(2026年1月1日以降着工):反応槽・ボイラー・配管設備などの工作物はこの資格が必要です。煙突・遮音壁などは、一般・特定建築物石綿含有建材調査者なども調査できます(厚生労働省・環境省の周知資料)。
事前調査全体の制度についてはアスベスト事前調査の有資格者義務化(2023年10月〜)完全ガイドもご参照ください。
許可がない業者に依頼するリスクは?
不法投棄や施工不備による健康被害、行政の命令などのリスクがあり、工事の中断や追加の費用など施主にも影響が及ぶことがあります。罰則の対象は、義務を負う人ごとに決まっています。許可が必要な工事を無許可で請け負うのは業者の建設業法違反です。廃棄物は元請業者が排出事業者で(廃棄物処理法21条の3第1項)、無許可業者への委託やマニフェストの不交付で罰則の対象になるのも元請業者です。施主(発注者)自身は、届出が必要な除去工事の届出をしない・偽ると罰則の対象になります(大気汚染防止法18条の17第1項・34条1号)。
無許可業者・無資格者への発注は、施主側にも重大なリスクをもたらします:
- 建設業法違反:許可が必要な規模の工事(建設業法3条)を無許可の業者が請け負うと、その業者が建設業法違反になります。工事が止まるなど、施主にも影響が出ます。
- 廃棄物処理法違反:解体・除去工事の廃棄物は元請業者が排出事業者です(廃棄物処理法21条の3第1項)。アスベスト含有廃棄物の処理を許可のない業者に委託すると、委託した元請業者が5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科の対象です(同法25条1項6号)。マニフェストを交付しないことも、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(27条の2)。
- 大気汚染防止法違反:届出が必要な作業で届出をしない・偽ると3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(34条1号)、事前調査結果の報告をしない・偽ると30万円以下の罰金(35条4号)です。特定粉じん排出等作業の届出は発注者の義務なので、発注者自身が罰則の対象になることもあります。発注者には、事前調査の費用を適正に負担するなどして調査に協力すること(18条の15第2項)と、作業基準の遵守を妨げる条件を付けないよう配慮すること(18条の16第1項)も求められます(この2つに罰則はありません)。資格者による事前調査(石綿障害予防規則3条4項)を怠ると、労働安全衛生法上の罰則の対象になりえます。
- 健康被害:施工不備によるアスベスト飛散は、建物利用者・周辺住民の健康被害リスクとなります。
- 追加費用発生:行政の指導を受けて再施工・是正工事をすると、工期の延長や追加の費用が生じることがあります。
- 建物の評価への影響:トラブルが起きた建物として、売却や賃貸の際の説明・評価に影響するおそれがあります。
違反業者の見分け方や通報先についてはアスベスト違反業者の見分け方と通報先もご参照ください。
よくある質問
Q. アスベスト除去業者が必ず持つべき許可は何ですか?
A. 請負代金500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)の工事では、工事の内容に合った業種の建設業許可(建物を壊すだけの解体工事なら解体工事業)が必要です。廃棄物を運ぶ業者には産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県別)も必要です。加えて石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者の在籍が実務上不可欠です。
Q. 建設業許可番号はどこで確認できますか?
A. 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で会社名から検索可能です。許可番号・許可業種(解体工事業など、工事の内容に合った業種か)・有効期限などを無料で確認できます。
Q. 産業廃棄物収集運搬業許可の確認方法は?
A. 都道府県別に許可されるため、各都道府県の産業廃棄物窓口または公式の業者一覧サイトで確認します。吹付け材や保温材などの除去で出る「廃石綿等」は特別管理産業廃棄物なので、運ぶ業者には特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。成形板などの「石綿含有産業廃棄物」は、産業廃棄物収集運搬業の許可で運べます。
Q. 許可なし業者に依頼するリスクは?
A. 不法投棄や施工不備による健康被害、行政の命令などのリスクがあり、工事の中断や追加の費用など施主にも影響が及ぶことがあります。罰則の対象は、義務を負う人ごとに決まっています。許可が必要な工事を無許可で請け負うのは業者の建設業法違反です。廃棄物は元請業者が排出事業者で(廃棄物処理法21条の3第1項)、無許可業者への委託やマニフェストの不交付で罰則の対象になるのも元請業者です。施主(発注者)自身は、届出が必要な除去工事の届出をしない・偽ると罰則の対象になります(大気汚染防止法18条の17第1項・34条1号)。
まとめ
アスベスト除去業者の許可・資格確認は、施主のリスク管理として発注前に必ず行うべき行動です。建設業許可・産業廃棄物収集運搬業許可・石綿作業主任者・建築物石綿含有建材調査者の4つは公的データベースや書面で確認可能です。無料の確認手段を活用し、許可・資格に裏付けられた信頼業者の選定で、健康被害・法令違反・追加費用リスクを未然に回避することが重要です。