外国人労働者のアスベスト安全教育・多言語対応|建設業事業者が今すぐやるべき対策

公開日:2026-05-27 最終更新:2026-10-11

本記事は建設・解体業の事業者向けの参考情報です。 外国人労働者の安全衛生・在留資格に関する詳細は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式情報でご確認ください。2026年10月時点の情報です。

建設・解体業でも外国人技能実習生・特定技能労働者が働いており、アスベスト除去現場での安全教育の多言語対応が欠かせません。石綿取扱作業従事者特別教育(受講義務)は外国人労働者にも適用されるため、内容を理解できる言語・方法で教育することが大切です。

厚生労働省は、外国人労働者数の増加に伴い外国人労働者の労働災害が増加傾向にあり、その要因として業務経験の短さ、日本語の理解の不十分さ、コミュニケーション不足による危険の伝達・理解の不足などが考えられるとしています。石綿は吸い込んでから長い年月の後に健康被害が出るため、教育の段階で確実に理解してもらうことが大切です。本記事では建設業の事業者が取るべき対策を整理します。

外国人労働者のアスベスト安全教育・多言語対応|建設業事業者が今すぐやるべき対策

なぜ今、外国人労働者のアスベスト安全教育が重要か

建設業・解体業の現場でも外国人労働者が働いています。アスベスト除去現場での不適切な安全管理は、外国人労働者自身への健康被害だけでなく、事業者の法令違反にもつながります。

背景となる課題:

  • 外国人労働者数の増加に伴い、外国人労働者の労働災害が増加傾向(厚生労働省「外国人労働者の安全衛生対策について」)
  • 要因として、業務経験が短い場合が多いこと、日本語の理解が不十分であること、コミュニケーション不足で危険の伝達・理解が不足すること(同ページ)
  • 中皮腫は石綿ばく露から20〜50年の長い潜伏期間の後に発症するとされ(環境省資料)、若い労働者が将来発症するおそれがある
  • 特別教育を行わずに業務に就かせると労働安全衛生法59条3項の違反で、罰則(119条1号:6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象

特別教育:外国人労働者への適用義務

特別教育:外国人労働者への適用義務

石綿取扱作業従事者特別教育(労働安全衛生法59条3項・石綿障害予防規則27条)は、国籍・在留資格を問わず、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に就かせる労働者に行う義務があります。外国人であることを理由に免除されることはありません。

特別教育の対象と内容

  • 対象者:石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に就かせる労働者(石綿障害予防規則27条1項)
  • 科目(合計4.5時間以上):石綿の有害性(0.5時間)・石綿等の使用状況(1時間)・石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置(1時間)・保護具の使用方法(1時間)・その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項(1時間)(厚生労働省告示「石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程」平成17年第132号。学科教育で各時間以上)
  • 実施者:事業者(外部の機関が行う講習を利用する例もある)
  • 記録保存:受講者・科目等の記録を作成して3年間保存(労働安全衛生規則38条)

出典:石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(厚生労働省告示第132号)(確認日 2026-10-11)

外国人労働者への実施上の注意点

  • 厚生労働省の指針は、外国人労働者への安全衛生教育を、母国語等や視聴覚教材を用いるなど、内容を理解できる方法で行うよう求めている
  • 日本語のテキストを渡すだけでは、内容が理解されないおそれがある
  • 母国語に翻訳された教材・視聴覚教材など、教育の内容に合った教材を用意する(厚生労働省 基発0328第28号)

母国語等での安全衛生教育(厚生労働省の指針)

厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)は、外国人労働者に安全衛生教育を行うときは「母国語等を用いる、視聴覚教材を用いる等、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと」としています。

指針と通達(平成31年3月28日 基発0328第28号「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」)が求める主な事項:

  • 安全衛生教育は、母国語等や視聴覚教材を用いて、内容を理解できる方法で行う。特に、使用させる機械・原材料の危険性・有害性と取扱方法が確実に理解されるよう留意する(指針)
  • 労働災害防止のための指示を理解できるよう、必要な日本語と基本的な合図などを習得させるよう努める(指針)
  • 標識・掲示は、図解などで内容を理解できる方法で行うよう努める(指針)
  • 同じ言語を話せる日本語の上手な労働者(同じ国・地域出身の上司や先輩など)に通訳や教育の補助を頼むこと、理解度を確かめながら教育を繰り返すことが望ましい(通達)
  • 保護具(防じんマスク・防護服)の着用は、実技で示すと伝わりやすい

出典:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針、基発0328第28号(確認日 2026-10-11)

多言語対応の実践的な方法

多言語対応は「完璧な翻訳書類」を求めるのではなく、「外国人労働者が作業の危険性を理解している」状態を作ることが目的です。以下の実践的な方法を組み合わせることが有効です。

実践的な多言語対応方法

  • 厚生労働省の多言語教材の活用:視聴覚教材(マンガ教材)が11言語・8業種と業種共通で公開されている
  • 翻訳アプリの活用:GoogleTranslateやDeepLで安全指示を即時翻訳。完璧ではないが補助ツールとして有効
  • ピクトグラム・図示の活用:防護服の着用方法・立入禁止エリア等は絵で示すことで言語を超えた理解が得られる
  • バイリンガル現場監督の活用:同国人の先輩労働者が通訳役を担う体制の整備
  • タブレット・動画教材の活用:多言語の動画教材で視覚的に危険性を伝える

アスベスト除去現場での必須多言語表示(例)

  • 「石綿除去作業中・立入禁止」の多言語表示
  • 「防じんマスクを必ず着用」の多言語・ピクトグラム表示
  • 「この区域での飲食・喫煙禁止」の多言語表示
  • 緊急連絡先(救急・消防・監督者)の多言語掲示

多言語テキスト・ツールの入手先

多言語テキスト・ツールの入手先

厚生労働省は外国人労働者向けの安全衛生教育の教材を無料で公開しています。石綿の特別教育に使える資料は、講習を行う機関などにも確認してください。

事業者が記録すべき書類

外国人労働者への安全教育を実施した記録は、労働基準監督署の調査・労働災害発生時の対応において重要な書類となります。必ず保存してください。

  • 特別教育実施記録:受講者・科目等の記録は3年間保存の義務(労働安全衛生規則38条)。受講日・時間・講師・通訳者の氏名も残しておくと確かめやすい
  • 教材・テキスト:使用した多言語テキストのコピー
  • 理解確認の記録:口頭確認・テストの記録(理解が確認されたことの証拠)
  • 保護具の支給記録:防じんマスク・防護服の支給日・数量・受領者

外国人労働者の在留資格とアスベスト作業の注意点

技能実習・特定技能の在留資格によって従事できる作業の範囲が定められています。アスベスト除去作業の位置づけ(「とび・土工」「解体」等の職種・業務区分に含まれるか)を確認することが重要です。

  • 技能実習:職種・作業の定義により従事可能な作業範囲が限定される。アスベスト除去が含まれるかは出入国在留管理庁・監理団体などに確認
  • 特定技能:建設分野で受け入れられるが、従事できる業務の範囲は分野ごとの定めによる。アスベスト除去作業が含まれるかは出入国在留管理庁・国土交通省の資料で確認
  • 共通の原則:在留資格に関わらず、石綿取扱作業に従事させる場合は特別教育受講・保護具支給・安全管理が義務

※ 在留資格・職種の詳細は出入国在留管理庁・建設業振興基金(CCUS)・送り出し機関でご確認ください。

よくある質問

Q1. 外国人技能実習生にも石綿取扱作業従事者特別教育を受けさせる義務がありますか?

A. はい、義務があります。石綿取扱作業従事者特別教育(労働安全衛生法59条3項・石綿障害予防規則27条)は、日本人・外国人を問わず、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に就かせる労働者に行う義務があります。厚生労働省の指針は、外国人労働者への安全衛生教育を母国語等や視聴覚教材を用いるなど、内容を理解できる方法で行うよう求めています。特別教育の受講者・科目等の記録は3年間保存する義務があります(労働安全衛生規則38条)。

Q2. アスベスト除去現場での外国人労働者への多言語対応はどこまで必要ですか?

A. 厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」は、安全衛生教育を母国語等や視聴覚教材を用いて内容を理解できる方法で行うこと、標識・掲示も図解などで理解できるようにすることを求めています。現場での対応の例:①特別教育の内容の翻訳・通訳②作業手順書・安全ルールの多言語版③防護具の着用方法の実技指導④緊急連絡先・避難方法の多言語表示です。

Q3. 多言語の安全教育テキストはどこで入手できますか?

A. 厚生労働省は「外国人労働者の安全衛生対策について」のページで、11言語(日本語・英語・中国語・ベトナム語・タガログ語・クメール語・インドネシア語・タイ語・ミャンマー語・ネパール語・モンゴル語)の視聴覚教材(マンガ教材)を8業種と業種共通で公開しています。石綿の特別教育に使える多言語の資料は、講習を行う機関などに確認してください。

まとめ

外国人労働者へのアスベスト安全教育は、石綿取扱作業従事者特別教育(5科目・合計4.5時間以上)の実施・記録保存が法令上の義務であり、日本人労働者と同様の対応が求められます。母国語での安全説明・多言語テキストの活用・ピクトグラムの掲示が現実的な対応策です。厚生労働省の多言語テキストが無料で公開されているため、まずはそれを活用してください。安全教育の記録は3年間保存し、労働災害・行政調査に備えることが重要です。

参考リンク(公的一次ソース)

アスベスト除去・安全管理のご相談

外国人労働者を含む現場の安全管理・特別教育の実施支援もご相談ください。法令に沿った工事管理で、現場の安全確保をお手伝いします。全国47都道府県対応。

050-6881-1319 受付時間 9:00〜20:00(年中無休) 無料見積もりフォーム
最終更新: 2026-10-11
電話で相談 フォームで相談