アスベスト工作物の対象範囲|煙突・配管・ボイラー等の調査要件

公開日:2026-05-19 最終更新:2026-10-11

※ 本記事に記載の費用相場・補助金額・統計・登録者数・法令等の数値は、記事の作成・更新時点の情報です。法令改正や制度改定により変わるため、最新の情報は各自治体公式サイト(.lg.jp)・厚生労働省・国土交通省・環境省の公表値を必ずご確認ください。

アスベスト規制でいう工作物とは、反応槽・ボイラー・配管設備・焼却設備・煙突などの、建築物以外の構造物です。一部の工作物では、2026年1月1日以降に着工する工事から、工作物の種類に応じた資格を持つ調査者が事前調査を行う必要があります。

アスベストの事前調査と除去のルールは、建築物も工作物も同じ法令で決まっています。ただし工作物では、事前調査を行える人の資格と、調査結果の報告が必要な工事の範囲が建築物と違います。工場・プラント・発電所などを持つ事業者に特に関係します。本記事では、工作物の対象範囲・調査要件・建築物との違いを整理します。

アスベスト工作物の対象範囲|煙突・配管・ボイラー等の調査要件

工作物とは何ですか?

建築物以外のもので、土地・建築物・工作物に設けられているもの(または設けられていたもの)です。そのうち、石綿が使われているおそれが高いものとして国が定めた17種類を「特定工作物」と呼びます(厚生労働省・環境省の周知資料 別添1)。

特定工作物は次の17種類です(厚生労働省告示第278号・環境省告示第77号。かっこ内は除かれるもの):

  1. 反応槽
  2. 加熱炉
  3. ボイラー及び圧力容器
  4. 配管設備(建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙などの建築設備を除く)
  5. 焼却設備
  6. 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)
  7. 発電設備(太陽光発電設備・風力発電設備を除く)
  8. 変電設備
  9. 配電設備
  10. 送電設備(ケーブルを含む)
  11. 煙突(建築物に設ける排煙設備などの建築設備を除く)
  12. トンネルの天井板
  13. プラットホームの上家
  14. 遮音壁
  15. 軽量盛土保護パネル
  16. 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板
  17. 観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であるものを除く)

これ以外の工作物には、エレベーター、エスカレーター、コンクリート擁壁、電柱、公園遊具、鳥居、作業用足場などの仮設構造物、観覧車などの遊戯施設があります(同 別添1)。

建築物と工作物の規制はどう違いますか?

建築物と工作物の規制はどう違いますか?

事前調査を行える調査者が異なります。2026年1月1日以降に着工する工事では、反応槽・加熱炉・ボイラー・配管設備・焼却設備など(周知資料の①〜⑩)は工作物石綿事前調査者が、煙突・トンネルの天井板・遮音壁など(⑪〜⑰)は工作物石綿事前調査者または一般・特定建築物石綿含有建材調査者などが調査します。それ以外の工作物は、塗料などの除去等の作業に限って資格者の調査が必要です(厚生労働省・環境省の周知資料、石綿障害予防規則3条4項)。

規制の比較:

項目建築物工作物
事前調査者一般・特定建築物石綿含有建材調査者など(一戸建て等は一戸建て等石綿含有建材調査者も可)工作物の種類により、工作物石綿事前調査者、または一般・特定建築物石綿含有建材調査者なども可(2026年1月1日以降着工)
調べる材料の例吹付け材・保温材・成形板・仕上塗材など保温材・断熱材・耐火材・ガスケット・グランドパッキン・塗料など
作業基準建築物・工作物とも同じ(大気汚染防止法施行規則 別表第七・石綿障害予防規則)
事前調査結果の報告(労働基準監督署・都道府県など)解体は床面積の合計80㎡以上、改修は請負金額100万円以上(税込)特定工作物の解体・改修で請負金額100万円以上(税込)

工作物にはどんなアスベスト建材がありますか?

保温材・断熱材・耐火材・ガスケット・グランドパッキンなどを調べます。非鉄金属製造業・鉄鋼業・化学工業の施設の設備では、2006年9月1日以降に新築したものでも、ガスケットやグランドパッキンを取り付けた日によっては調査が必要です(厚生労働省・環境省の周知資料 別添2)。

調べる材料の例(実際の材料は設計図書と現地で確かめます):

  • 煙突:耐火被覆材・保温材・煙突内部のセメント板
  • 配管:保温材・断熱材
  • ボイラー:保温材・耐火被覆・パッキン
  • 焼却炉:耐火材・断熱材
  • 反応槽・蒸留塔:保温材・断熱材
  • ポンプ・バルブ:パッキン・ガスケット
  • 電気設備:絶縁材など

石綿を含むかどうかは外見だけでは判断しにくいため、設計図書などの書面と目視で調べ、分からない材料は分析するか、石綿を含むものとみなして対策します(石綿障害予防規則3条2項・5項、環境省「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」)。

煙突の調査はどう行いますか?

煙突も、書面と目視で調べ、分からない材料は試料を採って分析します。高い所や狭い所での作業になるため、足場などの安全対策を含めて計画します。

煙突調査の流れの例:

  1. 設計図書・施工記録などの書面の確認
  2. 外部・内部の目視調査(足場・高所作業車などを使う)
  3. 分からない材料の試料採取
  4. 分析(JIS A 1481 などの方法。分析せずに石綿を含むものとみなすこともできる)
  5. 結果の記録と、元請業者から発注者への書面での説明
  6. 除去計画の立案(必要なとき)

配管設備の調査要件は?

配管設備の調査要件は?

事前調査は、工事の対象となる全ての材料について行います(石綿障害予防規則3条2項)。配管では、保温材・断熱材のほか、継手やバルブのガスケット・グランドパッキンも確かめます。

配管設備調査の重点事項:

  • 配管経路全体の確認(設計図と現地照合)
  • 保温材・断熱材の年代・メーカー特定
  • 継手・バルブ部のパッキン確認
  • 立上り・分岐部の重点調査
  • 埋設配管の確認(必要時掘削調査)
  • サンプリング箇所の決定(代表性確保)

ボイラー・焼却炉の調査ポイントは?

ボイラー本体・煙道・断熱材・パッキン・ガスケットなど多岐の部位を調査します。稼働を止めた後の冷却の期間も見込んで工程を組みます。

調査時の主な確認部位:

  • 本体外装の保温・断熱材
  • 火室・燃焼室の耐火材
  • 煙道・煙突の断熱材
  • 各種パッキン・ガスケット
  • 制御盤・配電盤内の絶縁材
  • 付属配管の保温材

ボイラー設備は稼働中の調査が困難なため、定期点検や更新計画と合わせて調査の時期を決めると進めやすくなります。

工作物の除去費用はどう決まりますか?

工作物の除去費用の目安を示す公的な資料は、このサイトでは確認できていません。高い所・狭い所・特殊な形への対応や、稼働を止めることの影響で変わるため、見積もりで比べます。

費用の変動要因:

  • 対象の材料と作業の種類(吹付け材・保温材など、成形板、仕上塗材・塗料)
  • 作業高さ・作業範囲
  • 足場・高所作業車のコスト
  • 稼働停止に伴う事業休止コスト
  • 特殊形状(曲面・狭隘部)への対応
  • 廃棄物量(保温材は嵩高)

同じ条件で複数の業者から見積もりを取ると、作業の範囲と費用を比べやすくなります。

2026年1月からの調査者の資格への対応は?

2023年の省令改正により、2026年1月1日以降に着工する工事から、特定工作物の事前調査を資格者が行うことになりました。厚生労働省・環境省は、講習の申込みが集中すると見込み、工作物石綿事前調査者の計画的な確保・育成を求めています(周知資料)。

対応のチェックリスト:

  • 自社の対象工作物の棚卸し
  • 過去図面・施工記録の整理
  • 工作物の種類に合った調査者がいる業者のリストアップ
  • 2026年以降の解体・改修計画の見直し
  • 調査・除去予算の確保
  • 稼働停止計画との整合
  • 建築物と工作物の同時対応業者の選定

よくある質問

Q1. 工作物と建築物の違いは何ですか?

A. 建築物は住宅・ビルなどの建物、工作物は建物以外で土地や建物に設けられたもの(煙突・配管設備・タンクなど)です。事前調査や除去の作業基準は、どちらも同じ法令(石綿障害予防規則・大気汚染防止法)で決まっています。違うのは、事前調査を行える人の資格と、調査結果の報告が必要な工事の範囲です(厚生労働省・環境省の周知資料)。

Q2. 工場の配管も対象ですか?

A. はい。建築物に設ける給水・排水・換気・冷暖房・排煙などの建築設備を除く配管設備は、石綿が使われているおそれが高い工作物(特定工作物)に当たります。2026年1月1日以降に着工する工事では、工作物石綿事前調査者が事前調査を行う必要があります(厚生労働省・環境省の周知資料、石綿障害予防規則3条4項)。

Q3. 個人住宅の煙突も対象ですか?

A. 建築物に設ける排煙設備などの建築設備は、工作物の「煙突」から除かれています。住宅に付いている煙突がどちらに当たるかは設置の状況によるため、事前調査を頼む業者に確認しましょう。工作物の煙突であれば、工作物石綿事前調査者のほか、一般・特定建築物石綿含有建材調査者なども調査できます(厚生労働省・環境省の周知資料)。

まとめ

工作物のアスベスト対策は、建築物と同じ法令で進めますが、事前調査を行える人の資格と報告が必要な工事の範囲が違います。2026年1月1日以降に着工する工事では、工作物の種類に応じた資格者による事前調査が必要になったため、対象の工作物を持つ事業者は早めの準備が欠かせません。建築物・工作物の両方に対応できる業者を選ぶことで、複合的な解体・改修工事を効率的に進められます。

参考リンク(公的一次ソース)

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